疲労によりインシデントが発生するリスク

疲労をため込まないことが大事

疲労により生じるミスは少なからずあるものです。多忙を極める職場であればなおさらヒューマンエラーが起こりやすいでしょう。しかし、些細なミスであってもときには重大な過失を引き起こしてしまう可能性も…。小さなミスから大きなリスクを発生させないためにもケアレスミスを徹底的に防ぎ、インシデントやアクシデントが起こらないように努めることが大切です。ここでは、どんな状況でミスが起こりやすいか、またよくあるインシデントの事例やミスを減らすためにやるべきことなどをご紹介します。

疲労をため込まないことが大事

疲労蓄積は思わぬミスのもと

人手不足により慢性的な疲労を抱えているなかで、さらにその疲労が蓄積されれば思いも寄らないミスが起こってしまう可能性があります。実際に医療機関ではさまざまなインシデントやアクシデントが発生していますが、その原因は医療従事者によって引き起こされているケースも多いのが実情です。
なぜヒューマンエラーが起こってしまうのかを考えてみると、単純な作業である場合が多くみられます。ケアレスミスを起こしがちな人に多いのが、集中力の低下や脳の疲れ、過度なプレッシャーによるものなどです。集中力がなくなったり脳が疲れていると、簡単な確認作業さえも忘れてしまう可能性があります。プレッシャーを感じてしまうのは、仕事量がキャパを超えているせいかもしれません。医療業界の人材不足により、多くの看護師が抱えきれないほどの業務を担っています。そのため、キャパオーバーによって看護師の疲れが心身ともにピークに達し、疲労困憊の状態で業務にあたっているのです。ミスをするなというほうが難しく、誰もがミスを起こしてしまうリスクがあるのが医療業界の現状とも言えます。

インシデント事例

インシデントやアクシデントが起こる原因として挙げられるのは、経験や知識不足によるもの、マニュアルや手順などのルール不遵守、コミュニケーション不足によるエラー、そのほかに勘違いや錯覚、不注意によるものなどさまざまです。これら人的ミスにより生じた過失は、さらに患者さんをも巻き込み重大なリスクとなる可能性を秘めています。些細なミスが生じることで芋づる式にインシデントやアクシデントを引き起こしてしまうこともあるでしょう。大小関係なく、ミスや事故が起こってしまう前に防ぐことがとても重要なのです。
よく起こりがちな事例をご紹介しましょう。
患者さんに投薬する薬剤や投与量、投与時間などを間違ってしまうというミスは多くみられます。現場では投薬のミスをなくすためにダブルチェックを行うのが基本ですが、チェックする側も疲労により確認があいまいになり、流れ作業のように進められているケースもあるでしょう。過剰に投与してしまったり、投与量が足りていなかったりなどのミスにより、場合によっては緊急の治療処置が必要になることもあります。投薬する際にはしっかりと声かけを行い、指差し確認をするなど徹底したチェック体制を築くことが大切だと再認識する事例の一つです。
また、分からないことがあるのに先輩看護師に聞きづらいからといって質問をしないことでインシデントが起こってしまうケースもあります。特に新人看護師に多いのが「怒られたくない」といった理由から質問をしないことです。また、中堅看護師だからこそ「無知だと思われたくない」という恥ずかしさから自己判断で進めてしまい、重大な事故を起こしてしまったという事例もあります。無知は大変危険なことであると認識するべき事案です。

体が資本!

重大な過失を回避するためには、まず働き方を見直し、万全の体調で仕事に臨む必要があります。しかし、人材不足のために業務量が減らせないという人もいるでしょう。フルタイムの勤務をこなし、さらに残業が発生してしまうとなかなか休めないのが実情です。多忙な看護師こそ、こまめに休憩を取って疲れをため込まないことがミスの回避に繋がります。とはいえ、緊張で十分な睡眠を取れていない、忙しすぎて食事が摂れない、職場の人間関係によるストレスがあるなど、仕事の疲労により体調管理がしっかりとできていないためにミスが生じてしまうことも実際には多いでしょう。しかし、疲労やストレスを蓄積させないためには、ミスを回避しておくことも重要なのです。
まず、ミスを減らすためには、基本的な確認を行うことや知識・技術力を高めること、こまめな休憩を取ることなどに注目しましょう。徹底した確認を行うことは基本中の基本。自信がないときには恥をしのんで周りに確認する勇気を持つことも大切です。そもそも自分自身で間違いに気づくためには、看護・医療の知識や技術が欠かせません。十分なスキルを身につけておくことでミスを防ぐことができるでしょう。また、多忙な看護師にとって休憩を取るのはなかなか難しいことですが、疲れが蓄積されないようにこまめに一息つくことも大事です。何度もミスを繰り返してしまうと、看護師としての自信を喪失してしまう可能性もあります。疲労蓄積によるダメージは身体だけでなく心にも影響を与えかねません。もし身体も心も疲れていて判断が鈍っているかもしれないと感じたときには、すぐに周りの同僚や上司に相談しましょう。自分自身の体調をしっかりと把握しておくこと、勇気を出して声を上げることがミス回避にも繋がるのです。

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サイトについて私は手術室勤務の看護師です。病棟勤務の看護師とは別な意味で緊張感もあれば、残業もあって、疲れのたまる仕事をしています。でも、世間では手術室勤務の看護師は一般的ではないので、イメージしづらいかもしれません。本当は手術室看護師を目指してくれる人材を発掘するようなサイトを作りたかったのですが、それ以前に看護師全体が抱える人材不足やその結果としての慢性疲労の問題があるので、このサイトではそちらに焦点を絞っています。