看護師の勤務形態が誘因する切迫流産

慢性疲労による切迫流産の危険性

看護師の多忙な仕事と慢性疲労に関して、ショッキングな話があります。それは、人手不足のため、妊娠している看護師もなかなか産休に入れず、切迫流産のリスクを抱えていて、本当に流産してしまう人もいるということです。ここではその危険性を考えていこうと思います。

慢性疲労による切迫流産の危険性

看護師が抱える流産のリスク

看護師不足で、交代勤務の要員に余裕がない場合、誰か一人が欠勤しただけで、そのまま他の看護師の負担となります。また経費削減を進めている病院の場合は、外来患者に対応する看護師はパートで、交代勤務のある病棟看護師は正職員という場合もあります。いずれの場合も、自分の体調が悪くても休みづらい状況であることは間違いありません。これは妊娠している看護師の場合も同じで、自分の体調が優れなくてもなかなか周りに言えず、無理して勤務を続けていて切迫流産となり、最悪のケースでは流産をする危険があります。

看護師の流産率

2010年の「看護職員の労働実態調査」によると、看護師の流産は11.2%、切迫流産は34.3%という割合で、実に3人に1人が流産しかかって、10人に1人が不幸にして流産をするという異常な状況になっています。他の業種では調査の仕方は違いますが、切迫流産等の妊娠異常が一般事務職では17.1%、介護職では24.7%という数値があり、やはり看護師の数値が高いということがわかります。

看護師を辞める理由

このように妊娠後も看護師の通常業務を続けることは、流産のリスクが高まって好ましいことではありません。本来ならば、労働基準法と男女雇用機会均等法によって、妊娠中の看護師は本人の申請で夜勤免除や業務軽減の適用を受けることができます。夜勤免除、業務軽減をしなかったり、妊産婦に深夜業務をさせたりした場合は母性保護の観点から罰則規定があり、病院側が違反をすれば、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる場合があります(労働基準法119条1号)。とは言え、現場の状況をよくわかっている看護師ほど、病院側に申請することを遠慮し、無理をして勤めるか、妊娠がわかった段階で退職を申し出るようです。
日本看護協会の「潜在ならびに退職看護職員の就業に関する意向調査」(2006年)によると、看護師の免許を持ちながら実際に働いていない潜在看護職の離職の理由は「結婚・妊娠・出産」で、この中には、流産のリスクを避けて無事に出産するために辞めていく人もいるはずです。そして、出産後も就業しないのは「子育て」と「家事と仕事の両立が困難」という理由が挙げられていて、無事に出産をしても、働きながら子育てすることが難しいことがわかります。

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サイトについて

サイトについて私は手術室勤務の看護師です。病棟勤務の看護師とは別な意味で緊張感もあれば、残業もあって、疲れのたまる仕事をしています。でも、世間では手術室勤務の看護師は一般的ではないので、イメージしづらいかもしれません。本当は手術室看護師を目指してくれる人材を発掘するようなサイトを作りたかったのですが、それ以前に看護師全体が抱える人材不足やその結果としての慢性疲労の問題があるので、このサイトではそちらに焦点を絞っています。