看護師不足の切り札?潜在看護師の現場復帰

潜在看護師の復職で看護師不足は解消する?

看護師に慢性疲労を抱えている人が多いのは、看護師の仕事が多忙だからですが、その多忙の原因として看護師の人材不足が上げられます。看護師は毎年国家試験に5万人弱の合格者がいますので、単純に考えるとその人数づつ増えているはずなのですが、実際には2~3万人程度の純増です。これは、准看護師から看護師試験を受ける人がいることもありますが、毎年、看護師を辞める人がいるというのが最大の理由です。医療現場では、高齢化社会を背景に今後、ますます医師と看護師の増員が必要なのですが、現実は厳しいようです。

潜在看護師の復職で看護師不足は解消する?

潜在看護師を掘り起こす

看護師を増やす方法のひとつとして、資格を持っているのに現場を離れてしまった看護師(これを潜在看護師と呼びます)を現場に復帰させるという考えがあります。看護師を辞めた人の理由は、職場が過酷で耐えられなかったという人もいますが、直接の理由としては、結婚や出産などの人生の転機に家事や子育てと看護師の仕事の両立ができなくて辞めたという人が多いのです。そして、これらの人たちの中には機会があれば、あるいは環境が整えば、看護師に復帰したいと考えている人もいるのです。

潜在看護師が復帰できない理由

復帰したいと思っていても、それが実現しないのはなぜでしょうか?それは潜在看護師それぞれに復帰を妨げる理由があるようです。ある調査によると、潜在看護師が現場復帰できないのは以下の理由があるからです。
1.子育て
交代制の勤務をするとしたなら、24時間対応の保育園や託児所が必要ですが、そういった施設はめったになく、あったとしても競争が激しいため、子どもがある程度大きくなるまでの現場復帰ができない。
2.家事との両立が困難
結婚をしている看護師の場合、共働きとなることが多く、家事の負担は看護師側にかかることが多いため、仕事も家事もどっちつかずになる懸念があり、家族の協力なしでは、看護師を継続できない、あるいは潜在看護師は現場復帰できない。
3.現場復帰への不安
現場を離れて時間がたっている潜在看護師の場合、医療知識や技術レベルが現在の職場で通用するのかの不安があり、配属される場所に適応できるかどうかの自信がない。

潜在看護師を現場復帰させるために

潜在看護師を現場に復帰させるためには、復帰を妨げる上記の理由を取り除いてあげれば、かなり確度が上がってくるはずです。そのためには、24時間対応の保育園、託児所の整備といった社会的インフラのバックアップが必要ですし、潜在看護師が現場に復帰するための研修施設を準備する必要があります。一部の大手の病院では、院内に託児所を用意したり、現場復帰のための研修カリキュラムを用意しているところもありますが、まだ十分ではありません。国レベルの問題として対応していく必要があると感じています。また、家事と仕事の両立の問題は家族内の問題ですので、十分に理解を得られるような話し合いと社会全体のバックアップも必要だと思います。

おすすめ一覧

看護師のためのストレス発散法
看護師のためのストレス発散法

どんな仕事でもストレスは貯まるものですが、看護師の場合は人の命が係わっているだけにその度合いは他の職業よりも高いかもしれません。でもストレスを貯めたまま仕事を続けることは百害あって一利なしです。ここでは私が知っている一般的なストレスの発散法をご紹介いたします。

看護師の3/4が慢性疲労?
看護師の3/4が慢性疲労?

看護師仲間でも「疲れた」「休みたい」というのが口癖だったりしますが、実に4人に3人は慢性疲労だという調査結果を見つけました。ほとんどの看護師が疲労感を抱えたまま仕事を続け、その先には「辞めたい」という気持ちを押し込んでいるのだと、改めて気づかされました。

看護師の給与・手当は少ない?
看護師の給与・手当は少ない?

看護師の給料が高いというのは一般的によく言われることですが、仕事の実情と見比べると決して高いと言えないのも事実です。その看護師の給与と手当の実態、構造について説明して、本当に看護師の給与は高いのか?それとも仕事に見合わず安いものなのかを検証していきます。

サイトについて

サイトについて私は手術室勤務の看護師です。病棟勤務の看護師とは別な意味で緊張感もあれば、残業もあって、疲れのたまる仕事をしています。でも、世間では手術室勤務の看護師は一般的ではないので、イメージしづらいかもしれません。本当は手術室看護師を目指してくれる人材を発掘するようなサイトを作りたかったのですが、それ以前に看護師全体が抱える人材不足やその結果としての慢性疲労の問題があるので、このサイトではそちらに焦点を絞っています。