看護師の慢性疲労の原因として、看護師不足の問題に焦点を当ててきましたが、人材不足の結果、仕事量が増えているため現場の看護師に時間外勤務が増えているのも事実です。ここでは看護師の残業の実態についてご報告します。
看護師の仕事は、患者の命を預かる仕事でもあり、急変時の対応や急患の受け入れなどがあったりすると、時間通りには追われません。一般の事務仕事と違って仕事の内容に不確定要素があるので、定時で終わることはなく残業が発生することになるのです。少し古いデータですが、2009年1月の看護師の勤務時間調査では、交代制で働いている看護師の20%以上が月間30時間以上の残業をしていることが分かっています。しかも、20代の看護師の残業時間は平均26時間/月で、さらに20代の4人に一人は月35時間超の残業をしていたのです。平均の残業時間ですから、この時間より少ない人もいる一方、この時間より多い人もいるはずです。月60時間以上の残業があると過労死危険レベルと言われていますが、実態的にはそんな状況下の看護師がいるのかもしれません。なによりも問題なのは、その残業時間に対してすべて残業手当が支払われているわけではなく、潜在的に「サービス残業」がかなりあるということです。
サービス残業などが発生してしまう理由は、決まった始業時間より早く出勤することが常態化しているいわゆる「前残業」がある、新人看護師を指導する時間が自分の勤務時間外にまで及んでしまう、、勉強会の準備や院内での各種委員会活動、就業時間内に整理する時間がないカルテの整理などなど、理由は様々です。こういった残業は、当然、看護師のプライベートな時間を侵食しますので、その分、休養やリラックスする時間を削っていくことになります。そして、この結果、疲労の回復ができず蓄積し、慢性疲労の原因となり、それが続くと医療事故に繋がる危険もあるのです。
残業は、慢性疲労の原因となり医療事故のリスクを高める危険がありますから、減らしていくことは急務です。実際にたいていの病院では、残業時間を減らすための取り組みをしています。主に管理側から現場への指示となるのですが、
・現在の業務内容を精査して無駄な部分を無くす努力をする
・休養を取れるように、組織として有給休暇の計画的取得を推進する
・交代制勤務の夜勤人数の見直し、交代制自体の体制見直しを行っている
などですが、上からの一方的な指示だけでは、即効性はないかもしれません。現場の看護師一人一人が疲労回復の重要性を認識して、互いに残業をしなくて済むような仕事のやり方を追求していく必要があります。そして、それを病院がサポートしていく体制が求められているのです。
どんな仕事でもストレスは貯まるものですが、看護師の場合は人の命が係わっているだけにその度合いは他の職業よりも高いかもしれません。でもストレスを貯めたまま仕事を続けることは百害あって一利なしです。ここでは私が知っている一般的なストレスの発散法をご紹介いたします。
看護師仲間でも「疲れた」「休みたい」というのが口癖だったりしますが、実に4人に3人は慢性疲労だという調査結果を見つけました。ほとんどの看護師が疲労感を抱えたまま仕事を続け、その先には「辞めたい」という気持ちを押し込んでいるのだと、改めて気づかされました。
看護師の給料が高いというのは一般的によく言われることですが、仕事の実情と見比べると決して高いと言えないのも事実です。その看護師の給与と手当の実態、構造について説明して、本当に看護師の給与は高いのか?それとも仕事に見合わず安いものなのかを検証していきます。
サイトについて
私は手術室勤務の看護師です。病棟勤務の看護師とは別な意味で緊張感もあれば、残業もあって、疲れのたまる仕事をしています。でも、世間では手術室勤務の看護師は一般的ではないので、イメージしづらいかもしれません。本当は手術室看護師を目指してくれる人材を発掘するようなサイトを作りたかったのですが、それ以前に看護師全体が抱える人材不足やその結果としての慢性疲労の問題があるので、このサイトではそちらに焦点を絞っています。
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